【進撃の巨人】考察ー「神話とDNA」から物語のテーマを読み解く

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「進撃の巨人」考察
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進撃の巨人と「神話」

 

進撃の巨人は「北欧神話を知ってると、3割ネタバレ」by作者さん。

これは、北欧神話を物語のモチーフにしている、というのがふつうの見方。

 

しかし、それだけではないかもしれない。

もともと、神話は人間の歴史の現実を反映している、という見方がある。

たとえば「破壊と再生」、そして、いろんな神話に共通する「人類誕生の背景」。

神話が、これだけ多くの物語のベースになっていて、人間の深層心理に訴えかけるのも、その本質のリアリティゆえではないかと。

もちろん「巨人」の存在も

 

まあ実際は分からない。

が、少なくとも進撃の巨人は、「意識(自由意志)を持った人間の創造性と破壊性」、そして、そのルーツとしての「人類の起源」といったテーマを含んでいると思う。

だからこその、神話ベース。

そういう視点での考察です。

(その意味では、北欧神話よりも聖書。そして現在のジャンルでは「都市伝説」の範囲に入る話でもあります)

 

15話「個々」

「神」の登場。最初はこんなところからだったんですけどね。

 

*以前に書いた記事を加筆・修正しました。

 

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「大地の悪魔」を”神話とDNA”から考察

 

進撃の中でも、もっとも神話らしい「大地の悪魔」を中心に考察していきます。

神話では主に聖書(失楽園)との関連性になります(歴史)。そしてDNA(科学)。

 

大地の悪魔と神話

まずはこれ。

86話「あの日」

 

大地の悪魔が始祖ユミルに巨人の力を与えたとされる場面(マーレ側の書いた絵・・しかしむっちゃ悪魔。ほぼバフォメット)。

全体としては、旧約聖書の失楽園を連想させる。

蛇(サタン)がそそのかして、人間が神のおきてを破って「善悪の知識の実」を食べた、という場面。


Wikipedia「禁断の果実」より

 

進撃の場合、得たのは知恵ではなく巨人の力だが、プラスにもマイナスにもなり得る大きな力という意味では似ているとも言える。

 

主人公や、調査兵団は、自我に目覚めたアダム・サタンです、
巨人と言う絶対的な支配者、神に従わない人達です、

作者ブログ:現在進行中の黒歴史より

本来、自我に目覚めたってことは、記憶が成立して、善悪といった価値観で行動が変わる「人間」という種になった、ということ。脳では大脳新皮質の発達。

それゆえに、他の動物にない創造性と破壊性が共存する。

記憶、善悪に振り回される人間(背後にあるのは、古い脳にある感情)。

これ、すべて物語のテーマにからみますね。

 

林檎の意味ー魂(心臓)を捧げた説

さて、これはどなたかが言われてたことですが、進撃のほうでは林檎は少女が差し出しているように見えます。

わざわざ「契約」って言葉を使ってるし、ただ力を与えられただけでないだろうと、ここから妄想。

・・エルディアはもともとマーレの侵攻によって追い詰められていた。そこで、「大地の悪魔(または生物の起源)」と接触できたユミルフリッツは、彼女自身の「意識(または魂)」を与える代わりに、巨人の力をエルディア人にもたらし、マーレに対抗しようとした・・。

世界の真実が明らかになった頃、林檎を食べるサシャ

 

だから、「意識」を放棄したから、その代償として「記憶障害」が起こったり、(道でつながるエルディア人が)無垢の巨人になるんじゃないかな?と。ま、これは根拠はない思いつきですが。

ともかく、「心臓(魂)を捧げた」可能性があるかも、と。

 

「なあ‥そんな化物になって巨人を駆逐したとして、それは人類の勝利なのか?」

アニメ第25話「壁」

ジャンのこの言葉は、始祖ユミルにまでさかのぼる伏線、だったりして。

だから、魂を売ったという意味で「売女の末裔」(92話)とか。

 

「悪魔」の役割ー今はエレンの手に

魂を売ったかどうかはさておき、自我に目覚める=悪魔性につながるという見方はある。

進撃ではエルディア人、とくに後半はエレンが悪魔の役割を負わされている。

102話「後の祭り」

 

物語が難しくなったのは、巨人を倒す、自由を求める=カッコいい反逆者から、仲間を守るためには世界を破壊しないといけない、ある意味での悪魔への転換が起こったからとも言える。

とくに100話、マーレへの奇襲で、「ああ、これはもう一線を踏み越えたな」と思ったものです。

 

つまり、無垢なヒーローから、人間の負のカルマを一手に背負う存在になった。

 

人類に力を与えた存在‥現実と同じ構図

そして、これ。

88話「進撃の巨人」

 

人間に力を与えた存在が、両極端のとらえ方をされているところ。

これは端的に言って、キリスト教やそれに反するものといった宗教に関わる問題を連想しますね。見方によって同じ存在が神にも悪魔にもなるっていう。

なんでそうなるかっていうと、(物語と同じように)実際に「力を与えた存在」がいるからではないかいなーと、ここから余談。

 

「人類の起源」はDNA操作による?

いわゆる古代宇宙飛行士説でいけば、ルーツはここにある。ぶっちゃけ、これを採用すると人類に関するいろんなナゾは一気に解消する。DNA操作という科学的な見方でもある。

 

科学的な根拠もないらしい進化論が、なぜか常識になっていた現状。考古学的なもろもろの情報など見るにつけ・・まだ現実においても「情報は納税者に委ねられる」には程遠い状況かと。

一回、情報を開示する派が主流になってほしい

 

で、この観点からは、遺伝子を操作したのが「人間はもっと自由になるべき」派で、「人間を管理しておく」派と対抗してるのが、地球上の争いの根源になる(参考・・アヌンナキ 2 エンリルとエンキ

 

ちなみに、マーレの呼び名「大地の悪魔」でなく本当は「大地の神様」だとしたら。

シュメール神話では、「大地の神様」=人間を創ったエンキ。粘土板の解読から、遺伝子を操作したと言われてますね。

つまり大地の悪魔は、シュメール神話のエンキであり、キリスト教におけるサタン(ルシファー)であり、ギリシャ神話のプロメテウス。そして原始イルミナティに通じる存在・・かもしれない。

 

エルヴィンが言ってたことは、現代になぞらえるとこれくらいのことでしょうね。

 

「先生、地球の外に生命体がいないって」

 

ってことで。大地の悪魔の正体は、DNAを改変した存在

88話「進撃の巨人」

 

クルーガーの言う、大地の悪魔=「有機生物の起源」説。

上記のように、生物の起源、とくに急激な進化においてはDNAが大きなカギを握っているはず。

というわけで、「大地の悪魔(有機生物の起源)」とは、エルディア人に巨人のDNAを与えた存在ではないか、と当ブログでは仮定している。

 

 

巨人化注射を持っているマーレは、ある程度、このDNAに関する技術は持っているだろう。タイバー家のボディガード、でかすぎる兵士はDNA操作によるものでは?

100話「宣戦布告」

 

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進撃における「神」のさまざまな意味

 

そして、これ。

116話「天地」

 

ここでついにというか、創造主としての「神」が出てきました。

オニャンコの意見を採用すると、有機生物の起源=神、つまり、生命の根源は神である、ということになります。

イェレナがなんでこの表情なのか、この時は分かんなかったですね。「神」ていう概念が嫌いなのかな?と思ったんだけど、一方で、イェレナは、ジークの獣を見てこう言ってました。

 

106話「義勇兵」

 

これはオニャンコの言う神とは違う印象です。「救ってくれるもの」という感じに思えます。

根底にあるのは、本人の言う「無力」感でしょう。何か、クサバーさんのような背景がありそう

つまり、エルディア人の生を否定するイェレナは、エルディア人を創った神など神ではない、と思っていそう。だからジークに賛同してて(ジークが神)、だからこその、あの表情だったのかなと。

*ここでは、創造主としての「神」を認めているか、は生を肯定できているかとリンクしている。

 

あとロッド・レイスの時も「神」が出てきましたが、あれは(厳しく言えば)真実を知ろうとしなかったロッドの心の支えみたいなもんですね。

66話「願い」-うーん、それは神ではないと。。

 

オニャンコのが、最も本来の神の概念に近い感じがします。

そう仮定して、自分はオニャンコの考えのほうに共感はしますね。

もし遺伝子操作があったとしても、人間はDNAだけでできてはいない。「神は宇宙人だった、はい終わり」ではないでしょう。

 

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結論。進撃の巨人は、歴史とDNAという宿命の中の"I"の物語である

 

ということで、最後にこれ。

エルディア王家の血筋、グリシャの前妻ダイナ・フリッツ。

英語表記はDINA

王家の”DNA”の間に”I”が挟まってます。I は私であり、私の意思であり、発音は”ai”。

89話「会議」

(DNAのように)同じことを繰り返してるようでも、らせん状に進んでいければいい。

グリシャがそうだった。あれだけの体験をしながら、彼が成し遂げた最大のことは、わが子としてエレンに接したことなのかもしれない。。

そして、それが新たな運命を導くことになる。

残酷で現実的な「進撃の巨人」とは、そういう物語であると思うのです。

 

蛇足:とはいえ、エレンはグリシャに勝手に継承された宿命には縛られた存在。と思っていたが、まさかの121話。。まあ、もっと強い宿命だったのか、それこそが魂の意思と言えるのか、ってとこでしょうか。

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