「自己実現」の心理学的意味(マズロー、ユングら)+可能性を知る方法




「自己実現」ってもともと心理学用語なんですけど、ちょっと前からはビジネス関係で使われていることが多いみたいですね。

ただネットでいろいろ見てもピンときにくい。いちおう心理学的な説明が書いてあっても、どうもニュアンス的に偏ったものも多い気がして・・<`ヘ´> 。

もともと「自分らしく、いろんな可能性を発揮して生きていきたい」という人間のしごく自然なあり方を表しているはずなんだけど?(実は・・この「自分らしさ」「可能性」をどう考えるかが、一番のポイントになると思うのですが)

なので、心理学から見た「自己実現」の意味についてまとめてみました!

加えて、独自の視点から「自分の可能性」を知るヒント、についても書いています。

こんな人におすすめの記事です
  • 「自己実現」って何?、その心理学的な意味についてきちんと知りたい
  • マズローやユング、ロジャーズそれぞれの「自己実現」の違いや具体例も知りたい
  • 自分の可能性を発揮する、自分らしく生きるためのヒントがほしい

 

「自己実現」とは

 

心理学的な視点から、自己実現の意味について簡単にまとめると、

「自分自身の潜在している可能性を発揮して、真に自分らしく生きること」と言えます。

ただ一般的には、

「自分の目標・理想に向けて努力し、達成すること」または「思い通りの人生を生きること」

といった使い方をされていることも多いと思います。

一見よく似ていますが、基本的に意味するところは大きく違っています。この2つの違いについて見ていきます。(・ω・)ノ

チャコ
チャコのジコジツゲンは魚を食べて寝ることにゃ。
さくら
そう、ね。(たしかにネコらしい・・ネコとしての可能性を発揮してるし・・なのか?)

 

「自己実現」のよくある使われ方

 

「仕事で自己実現!」

「やりたいことをやって自己実現しよう」

太陽に向かって伸ばす手の写真

 

先も言ったように、このように「自己実現」=「自分がやりたいことをやる」または「なりたい自分になる」という意味でよく使われています。特に仕事・ビジネスの分野で使われてきたこともあり、社会的な成功というニュアンスで使われていることもあります。

もちろん、それらも大事なことではあるのですが、これから説明する心理学的な「自己実現」からはちょっと離れた使い方であることは抑えておいてほしいポイントです。

なぜかというと、この一般的な意味で使われている場合、かな~り薄っぺらい説明になってしまっていることが多いのです。別に心理学的でなくてもいいのですが、とにかく自分の成長を考えるときに参考になりにくいなーと思うのです。

ではまず、もともと心理学での「自己実現」とはどのようなものか、簡単にまとめてみます。一般的なイメージと比較して読んでいただければいいと思います。

 

心理学的な「自己実現」の意味について

 

心理学で使われる「自己実現」の意味も、言った人の考え方によって少しずつ違っています。

 

人間性心理学の流れ

心理学での「自己実現」は、人間の主体性、創造性を重視した人間性心理学の流れの中で生まれました。簡単に言うと、それまでの精神分析が人間の病理に注目しがちだったのを、「もうちょっと建設的なところを見ていった方がいいんじゃない」って言ったんですね。

 

マズロー

マズローは、著名人を含めた卓越したと思われる人間を研究し、その共通点から「自己実現」について考察しました。

彼が「自己実現」していると考えた人の多くが60歳以上の人間です。のちには「完全なる人間性」としたほうが適切であるとも言っています。つまり、「ほんとに一流の人間」ってどんなんだろう、ということを研究したようです。

彼のいう「自己実現」している人の特徴には、例えば次のようなものがあります。

  • 先入観なく、人生や物事をあるがままに見ることができる
  • 感情的ではなく、より客観的、判断力がある
  • 孤独やプライバシーを好み、欠乏や不運に対して超然としている
  • 一方で人間関係を楽しめる
  • 他人を助けることの中に幸福を見いだす
  • 重要とみなす何らかの仕事、または課業に専念している
  • 自分の価値を大事にでき、同時に他人を尊重できる
  • 勇気があり過ちを犯すこともいとわない
  • 一般の意見と対立しても、自分自身の決断を下すことができる

 

彼は、自己実現と社会的な成功とは必ずしも一致するわけでないと見ていました。また「創造性」の大切さを見いだし、たいていの人は現在発揮しているよりもずっと創造的であると考えました。しかし、同時に偉大な人がことを成し遂げるには「勤勉性」が欠かせないことも指摘しています。

彼の考える自己実現には他人の尊重や献身など、利己的なあり方とは正反対の意味が込められています。が、そこまで知られていないかもしれません。

これは、マズロー自身も指摘しているように、のちにマズローの理論が経営学に用いられる際に、積極的な側面のみが取り上げられたことが影響しているようです。「自己実現」の誤解はこのことに加え、「実現」という訳語のニュアンスからも来ているのかなと思います。

 

マズローの自己実現から

さくら
自己実現は自分の能力や満足にこだわることではないよ。人間的に成熟した人は、強くてやさしい、視野が広いのだ。
チャコ
ハードルは高い、にゃ。

 

ロジャーズ

ロジャーズは現在のカウンセリングに大きな影響を与えた人物の一人です。彼は、あらゆる自然と同様に、人間には自らを維持するとともに、自分自身の可能性を最大限に開花させようとする「自己実現の衝動」がもっとも基本的な衝動の一つとして存在すると考えました。

彼は、困難にある人と面接しながら、少年時代に見た地下室のジャガイモの芽が伸びていくのをよく思い出すことを書いています。彼は人間を植物、あるいは生成発展する宇宙のあり方と同じような視点で見ました。

 

そして、「人間は成長に必要な条件さえ満たされれば、成長への意欲に満ち、自他を尊重する協調的な存在へ育っていく」と考えました。マズローと同じく非常に肯定的な人間観です(ちなみに、同じ心理学といっても、理論を作った人によってその人間観はかなり違います)。

そして、そういう傾向を発揮するためにはどんな環境が必要か、という視点からカウンセリングに必要な条件を考え、「あるがままの自分」を受け入れることで、初めて人間は変わっていく、としました。

ロジャーズの考えた「自分らしい」生き方

  • 偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分を受け入れる
  • 「こうすべき」「こうあるべき」という「~べき」から自由になっていく
  • 自分で自分の進む方向を決めるようになっていく
  • 自分自身の経験に開かれ、自分がいま何を感じているか気づくようになっていく
  • 自分をもっと信頼し、他人をもっと受け入れるようになっていく

 

たとえば厳しい家庭に育ってなかなか怒りを表現できない人が、怒りを表現できるようになったら(ロジャーズがそうでした)、それは一つの大きな「自己実現」でしょう。

ロジャーズはあくまでカウンセリングの経験から理論を作り上げたのですが、理論としてはやや抽象的な印象もあるかもしれません。しかし、そのあり方そのものが「自らの経験を信頼する」という自己実現の形を示している感じもします。

あるがままの自分を「深い部分で」受け入れることの大切さは、とくに今の時代、意外と難しいところもあるだけに、忘れてはいけないキホンであり、変化への鍵でもあると思います(従って、この「深い部分」を癒すためにどう具体的に理解し変えていけるか、に尽きるとも言えます)。

 

ロジャーズの自己実現から

さくら
欠点も含めて、今のあるががままの自分を受け入れることで、人間は自然と成長(今ここに生きる)へと向かうようになっているんだよ。
チャコ
チャコは自然と魚の匂いがするほうに向かっていくにゃ!

・・また、物事の善悪などを決めつけない態度は、「経験に開かれる」ことに通じます。

 

ユング心理学

 

ユングは、人が意識している部分を越えた心の全体性を「自己」という言葉で表現しました。そして、個人の中で眠っていたり、あまり発揮されていない部分を自己の内に統合し、自分自身を完成させていくことを「個性化の過程」または「自己実現(self-realization)」と呼びました。

 

ここでユングのいう自己について説明します。

ユング心理学の「自己」の画像

 

人間には相反する二面性、たとえば「男性的・女性的」「思考優位と感情優位」などがありますが、多くの場合、どちらかが強く出ていてもう一方はあまり使われていない傾向にあります。

「自己」は、そのような、いつもは使われてない部分や、意識されないなものを含む「人間の心全体」を指しています。

自己実現とは、その「自己」が、本人の意志や考えを越えて全体的に調和しようとする試みである、とも言えます。

一方、「~したい」「~になりたい」というのは、意識の領域である「自我」のものであるということになり、ユングはこれを「自我実現」として、自己実現と区別しています。

 

ユングの考え方は、「自己実現」と「目標・理想を達成すること」のちがいを、もっとも端的に示していると言えるでしょう(*画像にのせたブルース・リーの言葉はまさにこれですね)。

ユングは、人間は自己実現へ向かおうとするとき、自分というものの安定が崩れて一時的に危機におちいることもある、むしろ、自分の安定を崩してさえ、より高いレベルでの統合性・成長に向かおうとする傾向が人間の心にはあるとみています。

つまり、人間が大きく成長するときは、往々にして一回バランスを崩す=精神的な危機を通り抜ける必要がある、ということですね。人生で行きづまった、と思うときが、実は大きな成長のチャンスである、というのはこういうことだと思います。

 

他のものと共通する面もありますが、ユングの言う自己実現の分かりやすい例としては、

  • 女性らしさと無縁と思っていた男性が、自分のうちに女性らしさを見つける
  • 思考が優位だった人が、自らの感情にもっと気づくようになる
  • 石橋を叩いて渡るような人が、直観的にも行動するようになる


といった感じでしょうか。

 

ユングの自己実現から

さくら
ほんとに大きな変化は、自分でコントロールできないことの中にある。自分らしさにこだわらない柔軟性が、真の成長には欠かせないのだ。
チャコ
さくらと出会ったのは、成長のために用意されたブループリントなのにゃ。
さくら
 (゚д゚)ぉっ?

個人的にはもっとも大事だと思う。自分も人を見るときも。

 

「自己実現」の心理学からみた意味のまとめ

 

以上、心理学で扱われてきた「自己実現」でした。一般的なイメージとは少し違ったかと思います。理論によってどこに重点を置くかの違いはありますが、共通しているのはこのようなことでしょう。

  • 何かを達成することよりも、まず、自分自身の基準で生きること
  • 自己中心的ではなく自分も人も尊重できるようになること
  • さらに自分も知らない自分を見つけ、調和したあり方へ向かうこと

 

人間に潜在する可能性についても、たとえば、職業上の能力などに限らず、人間に内在するさまざまな機能全般を含んでおり、人生を豊かに生きるために必要な力のことを指していると思います。

 

以上のように、「自己実現」は目標や理想を達成していくこととは意味合いが異なることがお分かりいただけたかと思います。とくに、自己実現での「自分らしさ」や「可能性」は、自分が考える自分のイメージというよりも、もう少し大きなもの、人間としての調和したあり方と関係していると見ていいでしょう。

もちろん、目標や理想も大切で、それがないとエネルギーも出ません。どちらかというと、それらは自分の外側にあって、そのために努力したり達成したりしていくものと考えると、「自己実現」との違いが分かりやすいかと思います。

 

「自己実現」から「自己超越」へ

 

マズローの「自己超越の欲求」

 

ロジャーズやユングの考えにも共通する部分が見られますが、マズローは個人の成長は究極的には自分自身を超越していく「自己超越」の欲求として現れると考えました。

有名なマズローの欲求階層説では、①生理的欲求、②安全への欲求、③所属と愛の欲求、④承認欲求、の順に(必ずしも下から順に発達するのではないが、原則として)下位の欲求が満足されると次の欲求が出てくるとされています。

そして、その上に取り上げた⑤自己実現欲求が置かれているのですが、晩年のマズローは、さらにその上に自己超越の欲求が存在すると考えたと言われています。

 

マズローの欲求階層説の図

 

マズローは、その著書「人間性の最高価値」の中で、「超越のさまざまな意味」について述べています。明確に「自己超越欲求」として、定義されているわけではありませんが、それを見てみると、

  • 自己という意識の超越

をはじめとして、

  • 利己主義、自己中心性主義の超越
  • 神秘的体験としての、あらゆるものの融和という意味での超越
  • 死、病気、悪を必然ととらえることによる超越
  • 評価、二分法の超越

など、ありとあらゆる超越の形があげられています。

マズローは、自己実現している人(そうでない人も)の中でも、このような「超越」的体験がもっとも重要な意味を持つ人たちがいること、これらの人々は、決して宗教者などに限らず、さまざまな職業人に見られるといった研究結果を残しています。彼は、よい社会のためにはこうした要素が必要になる、という思想を持っていました。

マズローが活躍したのは1960年代頃と思いますが、昨今のスピリチュアルな領域への関心を先取りしたような内容といってもいいでしょう。

よくある「自己実現」のイメージが、近代的な個人主義や成功哲学の「右肩上がり」な印象が強いのに対して、マズローらの理論の流れは、「個の意識を越える」という点で、明らかにスピリチュアル的な要素が強くなっています

 

トランスパーソナル心理学

 

このマズローをはじめとして、人間性心理学やユングの流れをくむ人たち、それにチェコの精神科医のS.グロフらによって、1960年代末のアメリカの「ニューエイジ思想」ともあいまって「トランスパーソナル(個を超える)心理学」の基礎が作られたと言われています。

これは、それまでの心理学に加えて、いわゆる魂やスピリチュアリティの問題を取り入れたものといってもよいものです。

トランスパーソナル心理学は、新たな生き方を探る人間の意識を反映したものであると思います。ただ、スピリチュアルな事柄が注目されている割には、大きな影響を持つ考え方とは言えないところはあります。

個人的な印象ですが、どうしても抽象的になりがちで、実生活との接点が見いだしにくい部分があると感じます。

さくら
でも、これまでの人間の歴史や今の時代を考えたら、こういう方向性が求められてくるのは当然のことだよね。
チャコ
チャコとさくらはもう、種族の壁を越えているのにゃー。

 

「自分の可能性」を具体的に知るために

 

見てきたように、自己実現は、人間の心の成長を考えるときに役に立つ視点と思います。また、自己超越に続く流れは時代の変化に応じて、人間の求めるものが変わってきたことーもっと言えば「人間の進化」ーを反映していると思います。

ただ、スピリチュアルなこともそうですが、いわば頭のほうばかりを見ていくと、現実の生活の中でどうしていけばいいのか?がおざなりになってしまいがちです。

このあたりをきちんと押さえた、精神性も含めて人間としての可能性を引き出すための、現実的な見方ーつまり、人間の調和したあり方を見るための視点ーが必要と思います。

これまでの心理学や医学にはあまりなかった、「エネルギー的視点」から見ると、それが具体的な形として見えてきます。言葉にするとあまりにもあっけない感じがしてしまいますが、それが、「チャクラのエネルギー状態」を読み取ることの意味です。

チャクラ・エネルギー状態 イメージ

 

先のマズローの階層説で言えば、一部の「スピリチュアル」的な考えや方法、またトランスパーソナル心理学では主に成長欲求、特に自己超越という精神性の領域が注目されがちです。

対して、この見方は、生命力や感情といった人間の基盤となるものから、社会性・精神性に至るまで、その人のその時の状態・健康性をトータルにみることができる、という利点があります。そして、もっと調和したあり方が可能であると分かりやすく示してくれます。

人が変化し可能性を形にしていく過程は、自分を変えていくのでなく、内在している自分らしさを見つけていくものだと思います(結果的に、自分が変わったと感じるのですが)。

それがカウンセリングと(自分が思う)ヒーリングに共通する視点だと思います。

 

走っていく少年

 

成長するというのはポジティブな面だけでなく、「それまでの自分を失う」というネガティブな面を含んでいます。これは重要な点で、人間は今の自分を維持しようとする力と変わろうとするベクトルとの間で揺れているものです。

だからこそ、今の自分を否定するような理想ではなく、着実な成長を後押しできるものが大事になると思うのです。

だんだん真面目になってしまいましたが(笑)、しかし、ほんとうに人間のエネルギーを知り、利用することはまだまだこれからのことと言っていいでしょう。そして地に足のついた、可能性をきちんと現実にするための「自己実現」を目指し、サポートしていきたいですね。

 

[参考文献]

フランク・ゴーブル 小口忠彦(監訳)(1999)『マズローの心理学』 産能大学出版部
A・H・マスロー 上田吉一(訳)(1994)『人間性の最高価値』 誠信書房
諸富祥彦(2000)『カール・ロジャーズ入門ー自分が”自分”になるということ』 コスモス・ライブラリー
河合隼雄(1967)『ユング心理学』 培風館

 

チャクラについて詳しくはこちらをご覧ください


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